私が養老孟司さんのことを知ったキッカケは、この『バカの壁』がベストセラーになったときでした。
そのときは名前を知っている程度で、
後にNHKの『まいにち養老先生 ときどき まる』という養老さんの生活や考え方に密着したドキュメンタリー番組をみて考え方に興味を持ちました。
1冊目によんだ「ものがわかるということ」で一気に引き込まれ、今回「バカの壁」を読むに至りました。
結論、読んでよかったです。
ものがわかるということのルーツにもなる本だなと感じています。
バカの壁を読めば、そのあとに書かれた養老さんの本の吸収率がぐっと上がると思います。
『バカの壁』の要約を3行で
・人は「知りたくないこと」から自分で耳をふさいでしまう。これが「バカの壁」
・「話せばわかる」は思い込み。人はそれぞれ、自分の脳というフィルターを通して世界を見ている
・壁があることを自覚し、自分と他者について考え続けることが、分かり合うための第一歩
『バカの壁』の概要
この本は、累計450万部を突破した大ベストセラーです。2003年の年間ベストセラー第1位にもなりました。
書籍の世界では10万部売れればベストセラーと言われている中で、
この数字は驚異的ですね。
養老さんの本は基本的に一読では理解しきれません。
何回も読んで自分の中で咀嚼する必要があるため難易度は高めです。
ですが、まったく意味がわからないわけではなく
「なるほど!」と思う所は多いかと思いますので誰にでもおススメできる本です。
特にこんな人にオススメです。
『バカの壁』とは何か

バカの壁とは、自分の持っている偏見や理解したつもりなどの思い込みから生まれます。
それによって相手と分かり合えないということが起き、ときには衝突を生んでしまいます。
バカの壁は誰にでも存在しているものです。
本書ではそれを自覚することで、少しでも気が楽になったり、分かり合えるようになったりすることを説いています。
この本ではこの「バカの壁」について科学、教育、政治など様々な角度から語られています。
まずは、本書の全体像を章ごとに見ていきましょう。
『バカの壁』の要約|全8章のポイント
本書は全8章で構成されています。各章のポイントを、できるだけわかりやすくまとめました。
第一章 「バカの壁」とは何か
「話せばわかる」は本当でしょうか。養老さんは、人は自分が知りたくないことには自分から耳をふさいでしまう、と指摘します。同じものを見聞きしても、受け取り方は人によってまったく違う。この、自分で作ってしまう理解の限界が「バカの壁」です。
第二章 脳の中の係数
人の反応を、入力(見聞きしたこと)に「係数」をかけたもの、という式で説明します。係数がゼロなら、何を言われても反応しない(無関心)。反対に係数が極端に大きいと、一つの考えに振り回されてしまう。人によって係数が違うから、同じ話でも伝わり方が変わるのです。
第三章 「個性を伸ばせ」という欺瞞
「個性が大事」という風潮に、養老さんは疑問を投げかけます。体や顔がそれぞれ違うように、人はもともと個性的。むしろ社会で生きるうえで大切なのは、人の気持ちがわかること、つまり他者と共通する部分のほうだ、という主張です。
第四章 万物流転、情報不変
私たちは「情報は移り変わり、自分は変わらない」と思いがちですが、実際は逆です。書かれた情報は変わりませんが、人間は毎日変わり続けています。「知る」とは、自分が変わることでもある――本書の中でも特にハッとさせられる考え方です。
第五章 無意識・身体・共同体
現代人は「意識」ばかりを重視して、無意識や身体のことを忘れている、と養老さんは言います。頭で考えるだけでなく、体を動かし、身体で覚えることの大切さが語られます。
第六章 バカの脳
脳の仕組みという科学の視点から、「バカ」とは何かを考える章です。解剖学者である養老さんならではの切り口で、頭の良し悪しを脳の働きから捉え直します。
第七章 教育の怪しさ
学校や教育のあり方にも、バカの壁はあります。知識を詰め込むだけで、実際に体を動かして学ぶ経験が少ない現代の教育への問題提起です。
第八章 一元論を超えて
一つの正解だけを信じ込む考え方(一元論)は、楽な反面、他の考えを受け付けない壁を作ります。最終章では、物事を複数の視点から捉え、考え続けることの大切さが説かれます。
ここからは、この中でも特に私に響いた考え方を紹介します。
個性よりも大事にすべきもの

最近では個性があることが重要だとされています。
しかし変わらない個性なんて存在しないと養老さんは述べています。
今日の私と明日の私は違う。
それは毎日成長、老化していくわけですから当然のことです。
個性とは追求しなくても、すでにみな個性的であり同じ人間なんて存在しないわけです。
そんなことよりも社会の中で生きるには、
人の気持ちがわかるようになる方がよっぽど重要なのです。
社会という共通了解の中で、一人だけ違うことをしていてはおかしな事になってしまいます。
社会で生きていく上で考えなくてはいけないことは、
個性などではなく、人の気持ちがわかるようになることだというのは心に響きました。
「わかる」ということの勘違い
『わかったつもり』になってしまう1つの原因にアウトプットをおろそかにしているということがあります。
知識というのはインプットだけではダメでアウトプットを必要とします。
それは知行合一といいます。
現代ではインプットが中心になってしまっており、肝心のアウトプットがありません。
皆さんも覚えがないでしょうか?
今は何に困ってもネットやYouTubeを見れば解決方法が出てくる。
でも実際にやってみるとうまくいかない。
だけど次第にやってみて試行錯誤してみると自分のモノになります。
この「わかる」ということをさらに深堀りした書籍が「ものがわかるということ」です。
記事にしているので是非こちらもご覧ください。

バカの壁を克服するには
バカの壁を克服するには、
自分そして他者について思考することにヒントがあります。
自分と他者について考えるとは、たとえば「相手はなぜそう考えるのか」「自分はなぜそう思い込んでいるのか」と一歩引いて問い直してみることです。自分の中のバカの壁に気づくだけでも、人間関係のすれ違いは少し減らせるのではないでしょうか。
その真意を知りたい方はぜひ本書を手に取ってみてください。
『バカの壁』を読んだ感想
養老孟司さんの本は今まで何冊も読んできましたが、
共通する考えは基本的に一緒です。
ですが、読むたびに他の作品で腹落ちしていなかったことが少しずつわかるような感覚があります。
読む順番で言えば、養老さんに興味のある方は『バカの壁』から読むのがやはりおススメだと思います。
バカの壁をしっかり理解できていれば、
他の書籍の飲み込みも早いからです。
それだけエッセンスが詰め込まれた本が、
紙の書籍なら1000円以下、電子であれば600円ほど(記事執筆時点)で読めるのだからすごいことです。
ぜひ皆さんも読んでみてくださいね!
なお本書は、第38回新風賞を受賞し2003年のベストセラー第1位となったほか、新語・流行語大賞や毎日出版文化賞特別賞も受賞しているそうです。数々の賞に裏付けられた内容であることも、長く読み継がれている理由の一つなのかもしれません。詳しい書誌情報は新潮社の公式サイトで確認できます。
バカの壁を読んで養老さんの考え方をもっと知りたくなった方は、『養老孟司の人生論』の要約・レビューや『人生の壁』の要約・レビューもあわせてご覧ください。「壁」シリーズや人生経験から、養老さんの思想をより深く理解できます。
養老孟司さんの本をどれから読もうか迷っている方は、養老孟司のおすすめ本5冊|読む順番と悩み別の選び方もあわせてご覧ください。5冊の難易度と、おすすめの読む順番をまとめています。


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