「最近、心から笑ってないな」
そんな風に感じることはありませんか。真面目に、丁寧に、日々をこなしているつもりなのに、いつのまにか笑うことを忘れてしまっている。そんな心に、くすぐったいような笑いを届けてくれる一冊があります。
『ちびまる子ちゃん』の作者・さくらももこさんによるエッセイ集、『さるのこしかけ』です。
深く考えさせられる本でも、感動して涙する本でもありません。ただひたすら、くだらなくて、笑える。でも読み終えたころには、なぜか心が軽くなっている——そんな不思議な力を持った一冊です。
『さるのこしかけ』の概要
- 著者:さくらももこ
- 出版社:集英社(集英社文庫)
- ジャンル:エッセイ集
- 読書難易度:★☆☆☆☆(スキマ時間にサクサク読めます)
本作は、大ヒットエッセイ『もものかんづめ』に続く第2弾。著者自身の旅行記や日常の出来事、家族とのエピソードなどを、独特のユーモアあふれる筆致で綴った一冊です。
台湾旅行での食中毒騒動、インド旅行での珍道中、そして痔をめぐるドクダミ療法まで——真面目に読めばただの災難なのに、さくらももこさんの手にかかると、なぜか爆笑エピソードに変わってしまいます。
こんな人に『さるのこしかけ』はおすすめ
- 最近、心から笑えていないと感じている人
- 難しい本より、気軽に読めるエッセイでリフレッシュしたい人
- 通勤時間やお風呂上がりなど、スキマ時間に読書したい人
- さくらももこさんの独特な感性やユーモアが好きな人
台湾旅行記——怪しいジュースが引き起こした悲劇と爆笑
のどが渇きすぎたさくらももこさんが、周囲の制止も聞かずに飲み干してしまった、怪しい味のするジュース。その結果、旅先で食中毒を起こし、まさかの入院。
本人は苦しいはずなのに、その顛末を語る筆致はあくまで軽快です。しかし、付き添いでベッドの下に眠る旦那さんの姿まで、どこか哀愁とおかしみが漂っています。悲惨な出来事のはずなのに、なぜか読んでいるこちらまで頬が緩んでしまう——それが、さくらももこさんの筆力です。
インド旅行記——「大麻さん」という名の案内人
インド旅行で案内人を務めてくれたのは、「おおあさ」さんという名の人物。インドという土地と、その名前の組み合わせの絶妙さに、思わず笑ってしまいます。
だからこそ、狙って書いたはずのないその偶然を、しっかり笑いに変えてしまうところに、著者のセンスの良さがにじみ出ています。
ドクダミ療法——痔の完治までの、まさかの道のり
ベートーヴェンの「運命」が流れる中、強烈な痔に見舞われた著者。それを完治させたのが、まさかのドクダミ療法だったというエピソードは、本作を象徴する一編です。
深刻なはずの体調不良の話が、いつのまにか爆笑必至のエピソードへと昇華していく。つまり、この「シリアスとユーモアの落差」こそが、さくらももこエッセイの真骨頂と言えるでしょう。
心に残ったこと
この本を貫いているのは、「ありのままの自分を、面白がる」という姿勢です。
旅先でのトラブルも、体の不調も、家族とのちょっとした出来事も。着飾らず、恰好つけず、そのままの自分をユーモアたっぷりに描き出す。だからこそ読者は、彼女の失敗談や珍道中に、心から笑うことができるのだと思います。
真面目に生きようとするほど、私たちは笑うことを後回しにしてしまいがちです。でもこの本は、「くだらないことで笑っていい」「うまくいかない日常こそ、笑いのネタになる」と、そっと肩の力を抜かせてくれます。
まとめ
『さるのこしかけ』は、難しいことを何も考えず、ただ笑いたい夜にぴったりの一冊です。
台湾旅行、インド旅行、家族の話、そして体の不調まで。バラエティ豊かなエピソードのひとつひとつが、読み手を選ばず、誰でもクスッと笑わせてくれます。
頑張りすぎて疲れた日、心から笑えていないと感じる日。そんなときこそ、この本を開いてみてください。ページをめくるたびに、肩の力がふっと抜けていくはずです。
くだらないことで、心から笑いたいあなたへ。ぜひ手に取ってみてください。
また、「分かり合えなさ」や人との違いをテーマにした作品に興味がある方は、以前当ブログで紹介した『わたしたちが光の速さで進めないなら』のレビューもあわせてどうぞ。
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