【本の要約・レビュー】『養老孟司の人生論』~養老さんの考え方の根拠がわかる~

前回養老孟子さんの「ものがわかるということ」を読んで、
もっと養老孟子さんの考え方に触れてみたいと思いました。

今回は「養老孟子の人生論」を読んでみました。
この本では養老さんの考えの根拠となる人生経験が描かれています。
つまりこの本を読めば養老さんの価値観がどのような人生経験を経て形成されていったかがわかります。
ですので、
これまで養老さんの本を読んだ経験のある方には特におススメできる内容です。

目次

養老孟司の人生論 の概要

出版社:PHP研究所
発売日:2023/2/1
ページ数:280ページ
この本の読書難易度は★5中★3です。

エッセイ形式で文章自体を読み進めるのは簡単ですが、
養老さんの本は内容をキチンと理解するのが難しいので読書難易度は3としました。
何回も読んで嚙み砕いていくタイプの本かと思います。

この本はこんな人にオススメです。

・養老さんの考え方に興味がある方
・養老さんの本はまだ読んだことはないけど興味はある方
・養老さんの人生に興味がある方
・人生について考えることがある方

戦争や紛争を経て

養老さんは戦争や東大医学部研修生だったころに起きた、
大学紛争という自分の意思に関係なく「巻き込まれる」経験をしました。

変化していく世の中、東大医学部という共同体の中で追い求めたものは「変わらないもの」であり、
それは学問でした。

解剖学を選んだのも、やったことはすべて結果で返ってくる確実な学問だったからです。

そんな学問を追求する中で、
理論は極端であることが時に有益であると養老さんは説いています。

というのも両極で成り立つことは、
それより内側でも成り立つからです。

両極がわかってはじめて中庸が成り立つ。
普通は両極を考えないでいきなり真ん中をとって、
それが中庸だと思い込んでしまう。

両極を知るものだけが中庸を理解できるのです。

日本人は「生きて」いない

中国であれば人を表すのは「人」という字で十分だが、
日本語であれば「人間」となる。

「人間」という表現は中国では世間を表します。

日本語ではあえて人を人間と表現する、
つまり世間の中で生きているということになります。

日本ではまずは世間、仲間が優先で自分がやりたいことが優先ではない。

その中で養老さんはなんとか「人」になろうと生きてきました。

世間で生きるか、個人で生きるか。

海外から見れば日本人は「生きて」いないと批判されることがあります。
ですが、「生きて」いないことを悪いと養老さんは否定しているわけではありません。

大事なのは、
世間で生きようが、個人で生きようが、自分の生き方を根本的に肯定できることです。

養老さんは大学にいる時やりたくないことを辛抱してほぼ30年も勤めあげました。
ですが、これをムダだったと思うことが一番のムダだと言っています。

済んだ30年は後悔しても戻ってくるものじゃない。
それならあれでよかったと考える方がいい。

すでに済んでしまったことは、
それがうまい結果に行くようにこれからの人生を動かしていくのです。

『養老孟司の人生論』を読んだ感想

本書で書かれている内容は、
養老さんの本を1冊でも読んだことがある方であれば、聞いたことのある考え方が多く出てくるかと思います。

本書はその考えの根拠となる養老さんの歩んできた人生を知ることができるので、
より養老さんの本に関する理解を深めることができる本であると感じました。

また個人的には日本人は世間で生きているという言葉が響きました。
私自身はそこまで世間で生きているタイプではない方ですが、
まわりの話を聞いているとまさにそうだと感じます。

転職したい自分の意思はあるけど、
周りの人に迷惑がかかるから二の足を踏んでいる。

ひどい場合だと、
1日有給を取るのにも躊躇してしまう人も多いです。

どんなに大きな責務を負っていたとしても、
1日くらい休んだって大丈夫なはずなのにそれもできない。

まさに自分優先ではなく仲間・世間が優先になっていると思います。
養老さんが言うようにその選択一つ一つを自分で肯定できるかがとても重要で、
何かに迷った時、このことを自問自答してみようと思いました。

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