今回は養老さんの「壁」シリーズの一冊で、2024年11月に刊行された『人生の壁』を読んでみました。
帯の「ぶつかっても大丈夫ですよ」という優しい言葉に惹かれて購入をしました。

『人生の壁』の要約を3行で
- 生きていれば誰でも壁にぶつかる。大切なのは、それをどう乗り越えるか、どう上手にかわすか
- 煩わしいことにもかかわるほうがいい。資格ではなく、嫌なことも含めた日常の経験が本当の力になる
- 意味や役割だらけの都市社会に慣れると、生きる意味を考えすぎてしまう。それより本気で楽しめることを探せばいい
『人生の壁』の概要
著者の養老孟司氏は1937年鎌倉生まれの解剖学者で、東京大学名誉教授。2003年に刊行された『バカの壁』は同年のベストセラー第1位となり、新潮社の公式サイトによると「壁」シリーズは累計690万部を突破しています。
『人生の壁』のテーマはずばり「人生」。養老さん自身の幼年期から今日までを振り返りながら、誰もがぶつかる「人生の壁」をどう越えるか、あるいはどう上手にかわすかが語られています。「嫌なことをやってわかることがある」「生きる意味を過剰に考えすぎてはいけない」といった考え方は、この記事で紹介する内容にも通じています。
養老さんの本を読んだことがない人でも全く問題なく読めます。
むしろ読んだことがなくて、何かにつまずいている人にぜひ読んでほしいです!
養老さんの書籍のエントリーにもいいかと思います。
この本はこんな人にオススメです。
『人生の壁』全5章の構成と要約
本書は全5章・14の項目で構成されています(新潮社の目次より)。子ども時代から始まり、青年期、日本と世界、政治、そして人生へと、養老さんの歩みに沿って話が広がっていきます。
- 第1章 子どもの壁:子どもは大人の予備軍ではない。手をかけすぎず、上手に放っておくことの大切さ
- 第2章 青年の壁:解剖学を選んだ理由、煩わしいことにかかわる意味、貧乏という貴重な経験
- 第3章 世界の壁、日本の壁:世界は一つにはなれない。人の気持ちは論理だけでは変わらない
- 第4章 政治の壁:あいまいさを許すこと、自給自足を基本に考えること、数字に惑わされないこと
- 第5章 人生の壁:居心地のいい状態を知る、人生は学習の場、生きる意味を過剰に考えすぎない
この記事では、特に心に残った第2章「煩わしいことにかかわるのは大切」と、第5章「生きる意味を過剰に考えすぎない」を中心に紹介します。
空っぽの人間にならないために
養老さんは人から頼まれたことで自分のできることはやると決めているそう。
それは日常のいわば煩わしいことに積極的に関わる方がいいと考えるからです。
煩わしいことをこなしていくことはトレーニングと同じで結果として自分に返ってくるからです。
私たちの感覚で「スキルアップ」といえば、
資格をとったりセミナーを受けたりすることが該当するかもしれません。
でもそれは本当のスキルではありません、
というのも資格があっても実績がなければ何の役にも立ちません。
養老先生は医師免許を持っているが患者さんを見るスキルはない。
私も運転免許を持ってはいるが、ほとんど運転をしないペーパードライバーです。
これはとてもスキルとはいえませんね 笑
ただ資格を持っているだけです。
本当のスキルとは日常の経験から得られるものです。
その中には煩わしいものもあるかもしれません。
体力があるうちはそういったことに積極的に向き合うのもありかもしれません。
その時は面倒と思ったことも後から振り返るといい経験だったと思うことって結構ありませんか?
私は留学の時にやったリーダーという立場も、
部活の係の仕事も、
当時は何の報酬もないボランティアみたいなもので不満ばかりでしたが、
今では自分にとって大きな経験になっています。
全てが全て糧になるわけではないと思いますが、
私はそれでいいと思ってます。
役に立たなかった経験はどうせ忘れますから笑
自分のためになった経験だけをちゃんと認識しておけば。
そういったことから反射神経で逃げないことは結局は自分のためになるのかもしれません。
嫌嫌やるのではなく、自分のためになると思ってやれば気持ちよくできることもあるかもしれませんね。
『人生の壁』が語る生きる意味
何のために生きているのか、そんなことを私も考えてしまうことがあります。
なんでそんなことを考えてしまうかというと、
都市社会で生きることに慣れているからです。これは脳が作った社会で自然に反するものです。
都市社会には意味のないものはなく、全てに意味や役割がある。
考えてみればそうですね。街を見渡してみても何でこんなところにこんなものがあるの?というものはない。
そんなものがあれば直ちに排除されてしまいますよね。
対して自然はどうでしょうか。役割のないものがたくさんありますね。
このように脳が作り上げた都市社会で生きていると、意味や役割について過剰に考えるようになり、ひいては自分の存在意義を考えだしてしまう。
そんなことよりも本当に自分が楽しいと思うことを探すほうが良いと養老さんはいいます。
まずはそんなことを探してみて、一生懸命、本気でそれに取り組んでみる。
それだけでもいいんじゃないでしょうか。
「壁」シリーズの中での『人生の壁』
新潮新書の「壁」シリーズは、2003年の『バカの壁』から始まり、『死の壁』(2004年)、『超バカの壁』(2006年)、『「自分」の壁』(2014年)、『ヒトの壁』(2021年)と続いてきました。『人生の壁』はその流れを汲む一冊で、養老さん自身の歩みを振り返りながら、読者に語りかけるような口調で書かれているのが印象的でした。
「壁」シリーズの原点が気になる方は、以前ご紹介した『バカの壁』の書評もあわせてご覧ください。シリーズを通して読むと、養老さんの考え方の変化や深まりも感じられます。
『人生の壁』よくある質問
Q. 何ページの本ですか?
208ページの新潮新書です。定価は968円(税込)で、電子書籍版もあります。
Q. 『バカの壁』を読んでいなくても読めますか?
読めます。「壁」シリーズは1冊ずつ独立しているので、『人生の壁』から読み始めても問題ありません。シリーズの原点が気になったら、あとから『バカの壁』の要約を読むのもおすすめです。
Q. どんなときに読むのがおすすめですか?
仕事や人間関係で行き詰まっているとき、「自分は何のために生きているんだろう」と考えこんでしまうときに、肩の力を抜かせてくれる一冊です。
まとめ:『人生の壁』は行き詰まったときに読みたい一冊
『人生の壁』は、煩わしいことから逃げずに向き合うことや、生きる意味を考えすぎずに本気で楽しめることを探すことの大切さを、養老さんらしい飾らない言葉で教えてくれる一冊です。
帯の「ぶつかっても大丈夫ですよ」という言葉のとおり、何かに行き詰まっているときにこそ手に取ってほしい本です。養老さんの本を初めて読む方にもおすすめです。
養老孟司さんの本をどれから読もうか迷っている方は、養老孟司のおすすめ本5冊|読む順番と悩み別の選び方もあわせてご覧ください。5冊の難易度と、おすすめの読む順番をまとめています。


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