「読書感想文、何の本にしよう……」
夏休みが近づくと、こんな悩みが出てきませんか。
- 本を選ぶだけで疲れてしまう
- 分厚い本は、最後まで読み切れる自信がない
- 読んでも「おもしろかった」以外に書くことが見つからない
読書感想文がつらくなる原因の多くは、実は「本選び」にあります。自分の経験と重ねられる本を選べば、書くことは自然と見つかります。
この記事では、教養MAPでこれまで要約と感想を書いてきた本の中から、中高生の読書感想文に向いている7冊を選びました。ページ数・難易度・書きやすいポイントを一冊ずつまとめているので、お子さんの本選びに迷っている保護者の方にも参考にしてもらえるはずです。
この記事でわかること
- 読書感想文が書きやすい本の選び方
- おすすめ7冊のページ数・難易度と、書きやすいポイント
- 悩み・タイプ別のおすすめ
- どの本にも使える、感想文を書くときの3つのコツ
結論:迷ったら『悪口ってなんだろう』か『はずれ者が進化をつくる』
先に結論をお伝えします。
- 身近なテーマで書きたい人は『悪口ってなんだろう』:160ページと薄く、あだ名・いじり・SNSなど、自分が見聞きした場面と結びつけやすい一冊です
- 自分の個性や生き方について書きたい人は『はずれ者が進化をつくる』:2021年の中学入試[国語]で出題数No.1になった本です(筑摩書房の紹介より・日能研調べ)
どちらも筑摩書房の「ちくまプリマー新書」で、中高生にも読みやすいシリーズです。
読書感想文が書きやすい本の3つの条件
① 自分の体験と重ねられるテーマがある
感想文でいちばん大切なのは、「本を読んで、自分はどう考えたか」です。友だち関係、個性、時間の使い方など、自分の毎日とつながるテーマの本を選ぶと、書くことが見つかりやすくなります。
② 最後まで読み切れる厚さ
まずは200ページ前後の本から選ぶと安心です。厚い本を選ぶなら、章や部ごとに区切って読める本にしましょう。
③ 「答えを考えたくなる問い」がある
「悪口はなぜいけないのか」「ナマケモノはなぜ怠けるのか」のように、本が問いを投げかけてくれると、感想文の軸がつくりやすくなります。
おすすめ7冊の一覧|ページ数と難易度
| 書名 | 著者 | ジャンル | ページ数 | 読書難易度 | こんな人に |
|---|---|---|---|---|---|
| 悪口ってなんだろう | 和泉悠 | 新書(言葉・哲学) | 160ページ | ★★☆☆☆ | 友だち関係・言葉について書きたい |
| はずれ者が進化をつくる | 稲垣栄洋 | 新書(生物) | 192ページ | ★★☆☆☆ | 人と違うことで悩んだことがある |
| ナマケモノは、なぜ怠けるのか? | 稲垣栄洋 | 新書(生物) | 176ページ | ★★☆☆☆ | 自分の得意・不得意について考えたい |
| モモ | ミヒャエル・エンデ | 物語 | 410ページ | ★☆☆☆☆ | 時間の使い方について考えたい |
| アルケミスト 夢を旅した少年 | パウロ・コエーリョ | 小説 | 208ページ | ★★★☆☆ | 夢や進路に迷っている |
| 旅をする木 | 星野道夫 | エッセイ | 256ページ | ★★☆☆☆ | 自然や言葉の美しさにふれたい |
| 夜と霧 | ヴィクトール・E・フランクル | ノンフィクション | 184ページ | ★★★★☆ | 生きる意味について深く考えたい(高校生向け) |
読書難易度は、それぞれの記事でわたしがつけたものです。ページ数は、各記事で紹介している版(出版社の表記)です。
中学生・高校生の選び方の目安
- 中学生:★1〜2の本から選ぶと読み切りやすいです。『モモ』は400ページを超えますが、物語が3部に分かれていて、区切りながら読めます
- 高校生:どの本でも書けます。読みごたえのある本に挑戦したいなら、『アルケミスト』や『夜と霧』もおすすめです
1. 『悪口ってなんだろう』——身近な「言葉」から考える
「悪口はやめなさい」と言われたことはあっても、なぜいけないのかを説明できる人は意外と少ないものです。この本は、悪口がなぜ「悪い」のかを、人の「ランク」を下げる行為として説明してくれます。あだ名や軽口との違い、悪口がなぜ「面白い」と感じられてしまうのかまで考えられる一冊です。
感想文で書きやすいポイント:あだ名・いじり・SNSの書き込みなど、自分が見聞きした場面を1つ取り上げ、本の考え方で見直してみる
わたしがいちばん納得したのは、悪口は人の「ランク」を下げる、という部分です。悪口を言われると、それを聞いていた周りの人まで「この人はいじったり、軽く扱ったりしてもいいんだ」と思ってしまう。悪口の怖さは、言われた本人だけで終わらないところにあるのだと気づかされました。
→ 『悪口ってなんだろう』要約と感想|悪口は「ランクを下げる」から悪い
2. 『はずれ者が進化をつくる』——「人と違う」は弱さじゃない
生き物の世界では、「普通」から外れた「はずれ者」こそが新しい環境で生き残り、進化を生んできた——そんな話を、9つの授業の形でやさしく教えてくれる本です。2021年の中学入試[国語]で出題数No.1になった作品でもあります(筑摩書房の紹介より・日能研調べ)。
感想文で書きやすいポイント:「人と違うことで悩んだ」「得意なことが見つからない」など、自分の経験と本の考え方を重ねる
わたしはこの本を読んで、人と違っていたっていいんだなと思えました。苦手なところで戦うのではなく、自分がナンバーワンになれる場所を探していく——その考え方が心に残っています。
→ 『はずれ者が進化をつくる』要約と感想|9つの授業でわかる「個性」の秘密
3. 『ナマケモノは、なぜ怠けるのか?』——弱そうに見える個性にも意味がある
『はずれ者が進化をつくる』と同じ稲垣栄洋さんの本です。ナマケモノが動かないのは、怠けているのではなく、少ないエサで暮らし、天敵に見つかりにくくするための「戦略」。さまざまな生き物の例から、弱そうに見える特徴にも意味があることを教えてくれます。
感想文で書きやすいポイント:自分の「苦手」や「のんびりしているところ」を、別の見方で捉え直してみる
わたしの心に残ったのは、「得意なところで勝負する」という考え方です。イルカは陸の上を速く走れなくても、海の中では力を発揮できる。自分の強みが活きる場所で戦えばいいのだと気づかされました。
→ 『ナマケモノは、なぜ怠けるのか』要約と感想|あなたの個性には意味がある
4. 『モモ』——「時間」を考える物語
人の話をじっくり聞くことのできる少女モモと、人々から時間を奪っていく「灰色の男たち」の物語です。1973年の刊行から半世紀たった今も読み継がれている、ミヒャエル・エンデの名作。岩波少年文庫版は、エンデ自身が描いた挿絵入りです。
感想文で書きやすいポイント:スマホ・勉強・習い事など、自分の時間の使い方と比べてみる。「時間を節約すると豊かになるのか?」という問いに、自分なりの答えを書く
わたしの心に残ったのは、「つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ」を考える、という道路掃除夫ベッポじいさんの言葉です。先のことを考えすぎず、目の前のひとつに集中する。『アルケミスト』にも似たことが書かれていて、今に集中することが、結果として大きな成果につながるのだと感じました。
子どもにとっては冒険物語として、大人にとっては時間について考えるきっかけとして、読む年齢によって違う楽しみ方ができるのも『モモ』の魅力です。
→ 『モモ』あらすじと感想|何ページ?「時間」とは何かを問うエンデの名作
5. 『アルケミスト 夢を旅した少年』——夢を追うとき、何を大切にするか
羊飼いの少年サンチャゴが、ピラミッドに宝が眠るという夢を信じて旅に出る物語です。宝探しの冒険の形をとりながら、「自分の運命を生きるとはどういうことか」を問いかけてきます。2024年には漫画版も出ています。
感想文で書きやすいポイント:自分が何かを選んだ・あきらめた経験と、サンチャゴの選択を比べてみる。夢を後回しにした登場人物の生き方をどう思うかを考える
わたしは小学生のときに一度読みましたが、そのときは良さが分かりませんでした。社会人になって読み返して、「今に心を集中する」ことの大切さに気づかされた一冊です。読む年齢によって響く場面が変わるので、今のあなたが何を感じたかを書くと、あなただけの感想文になります。
→ 『アルケミスト』あらすじと感想|忙しさの中で「今」を取り戻す物語
6. 『旅をする木』——言葉の美しさにふれるエッセイ
アラスカの自然を撮り続けた写真家・星野道夫さんのエッセイ集です。小説ではないので、あらすじを追う必要がありません。心に残った一編を選んで、そこから考えたことを書けるのが、感想文に向いているところです。
感想文で書きやすいポイント:いちばん心に残った一編を選び、自分の身近な自然や、遠くで暮らす人への想像とつなげる
文章の美しさ、柔らかさは、わたしが今まで読んだ本の中でナンバーワンです。文字を読んでいるのに、まるで映像を見ているような気分になりました。
→ 『旅をする木』あらすじと感想|星野道夫が綴るアラスカの自然と言葉
7. 『夜と霧』——高校生が挑戦したい一冊
精神科医のフランクルが、ナチスの強制収容所での体験を記録した本です。テーマは重く、読むのがつらく感じる場面もあります。それでも、極限の状況で人が何を支えに生きたのかを知ることは、「生きる意味」を考える大きなきっかけになります。
感想文で書きやすいポイント:「つらいときに自分を支えてくれるものは何か」を、自分の経験から考える
わたしがこの本を読んだのは、仕事で追い込まれていた時期でした。記事では、読むのがつらい人のための読み方(新版を選ぶ、核心の章から読む など)も紹介しています。
→ 『夜と霧』要約と感想|読むのが辛い人へ、3つの段階でわかるフランクルの名著
悩み・タイプ別:あなたに合う一冊
| こんなとき | おすすめの一冊 |
|---|---|
| とにかく薄くて読みやすい本がいい | 『悪口ってなんだろう』(160ページ) |
| 友だち関係やSNSについて書きたい | 『悪口ってなんだろう』 |
| 人と違うことで悩んだことがある | 『はずれ者が進化をつくる』 |
| 自分の得意・不得意について書きたい | 『ナマケモノは、なぜ怠けるのか?』 |
| 物語を読んで書きたい | 『モモ』/『アルケミスト』 |
| 将来や進路に迷っている | 『アルケミスト』 |
| あらすじをまとめるのが苦手 | 『旅をする木』(一編を選んで書ける) |
| 深いテーマにじっくり向き合いたい | 『夜と霧』 |
読書感想文を書くときの3つのコツ(どの本にも共通)
① あらすじは短く
あらすじの説明で字数を使い切ってしまうのは、よくある失敗です。本の内容は、自分の考えを書くために必要な分だけにしましょう。
② 自分の体験を1つだけ選ぶ
いくつもの体験を並べるより、1つの場面をくわしく書くほうが伝わります。本の中の言葉と、自分の体験が重なったところを探してみてください。
③ 「読む前」と「読んだ後」で変わったことを書く
本を読んで、考え方や見え方が少しでも変わったなら、それが感想文のいちばんの読みどころになります。
よくある質問
Q. 読書感想文には、何ページくらいの本がいいですか?
初めての人や時間がない人は、200ページ前後の本がおすすめです。この記事の中では、『悪口ってなんだろう』(160ページ)、『ナマケモノは、なぜ怠けるのか?』(176ページ)、『はずれ者が進化をつくる』(192ページ)が読みやすい厚さです。
Q. 中学生にいちばんおすすめの本はどれですか?
身近なテーマで書きやすい『悪口ってなんだろう』か、中学入試でもよく出題されている『はずれ者が進化をつくる』がおすすめです。物語で書きたいなら『モモ』も向いています。
Q. 漫画版で読んで、感想文を書いてもいいですか?
学校によって決まりが違うので、先生の指示を確認してください。『アルケミスト』のように漫画版がある本は、先に漫画で流れをつかんでから原作を読む、という使い方もできます。
まとめ
読書感想文は、上手な文章を書くことよりも、「本を読んで自分がどう考えたか」を伝えることが大切です。そのためには、自分の毎日と重ねられる本を選ぶのが、いちばんの近道です。
迷ったら、薄くて身近な『悪口ってなんだろう』か、自分の個性について考えられる『はずれ者が進化をつくる』から。気になる本があれば、それぞれの記事で要約と感想をくわしく紹介しているので、本選びの参考にしてください。
読書感想文の本選びに迷っているあなたへ。ぜひ一冊、手に取ってみてください。


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