【本の要約・レビュー】『はずれ者が進化をつくる –生き物をめぐる個性の秘密』~生物の多様性からみる個性とは~

はずれ者と聞くと皆さんどんなイメージをお持ちでしょうか。

「その名の通り、普通ではない」
「仲間外れ」
「変わっている」

私は最初本書のタイトルからそんな印象を持ちました。

現代社会では普通であることが求められ、
平均的であることが良しとされる風潮が強くなっているように個人的には感じます。

そんな社会で生きる中で「自分らしさってなんだろう」
とこんなことを考えているとき本書に出会いました。

本書では雑草生態学を専門とする著者が生物の生き方を軸に
「個性とは何か」
「普通とは何か」
「生きるとはなにか」
といったテーマに対して話が展開されていきます。

本書は単なる生物の紹介では終わりません。

読み終わった後は、自分の生き方を考えさせられる
ある種の自己啓発的な内容も含まれた非常に内容の詰まった本になっています。

目次

はずれ者が進化をつくる の概要

出版社:筑摩書房
発売日:2020/6/9
ページ数: ‎ 192ページ
この本の読書難易度は★5中、★2です!

筑摩書房が出版する「ちくまプリマー新書」という新書レーベルになります。
新書とはいうものの中高生をターゲットにしており、
読みやすいながら内容が深いものが多いのがこの新書シリーズの特徴です。

今回ご紹介する本書もその例にもれず、
読書感想文の題材として選ばれることが多い内容の詰まった本となっています。

著者・稲垣栄洋とは

著者は農学博士であり、
専攻はなかなか聞かない「雑草生態学」です。

現在は静岡大学大学院教授をされており、
農業研究のかたわら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する
著述や講演を行っています。

著者の本は多数出版されており、私もいくつか持っています。
また中学受験でも頻繁に取り上げられており、受験界隈でも注目を集めています。

他の本も非常にお勧めなのです!レビュー記事はこちら↓

『はずれ者が進化をつくる –生き物をめぐる個性の秘密』の概要・あらすじ

こうして、つくられてきた「多様性」には、いったいどんな意味があるのでしょうか。

そして、私たちに与えられた「個性」には、いったいどんな秘密が隠されているのでしょうか。

稲垣栄洋『はずれ者が進化をつくる –生き物をめぐる個性の秘密』 ちくまプリマー新書 (2020/6/9)

生物の世界は多様性に溢れています。
例えば犬をとってみても、柴犬やフレンチブルドック
など様々な種類があります。

なぜこんなにも多くの生物がこの世界にはいるのでしょうか。
そして我々に与えれれている「個性」にはどんな意味があるのでしょうか。

本書では多様性=個性について、
生物の世界を軸に考えていきます。



記事冒頭でも述べたように、
取り扱う内容は非常に哲学的で難しいですが、
様々な例えや挿絵も多く
スラスラと読み進めることができます。

『はずれ者が進化をつくる –生き物をめぐる個性の秘密』から学んだこと、
心に残ったこと

人と違っていたっていいんだなと思えた。

必要だから個性はある。

稲垣栄洋『はずれ者が進化をつくる –生き物をめぐる個性の秘密』 ちくまプリマー新書 (2020/6/9)

目は誰しも2つです。
鼻の穴も2つです。

そこに個性=多様性はありません。

人間が進化していく中で、
それがベストだと選択されてきたからです。
言い換えるなら、無駄な個性は存在しないということになります。

では、我々の顔はどうでしょうか。
目が細い人もいれば、大きい人もいます。

性格はどうでしょうか。
明るい人もいれば、暗い人もいます。

我々は、人と違っていることに不安を感じます。
しかし、人と違って当たり前なのです。

不要な要素であるのなら、そもそも
進化の過程で取り除かれているはずなのです。

「他の人と違っていたって、変なことではないんだ。」
本書を読んで思うことが出来るようになりました。

ナンバー1しか生き残れない。。。だけど。。。

「ナンバー1しか生き残れない」

じつは、生物の世界では、これが鉄則です。

稲垣栄洋『はずれ者が進化をつくる –生き物をめぐる個性の秘密』 ちくまプリマー新書 (2020/6/9)

何となく自然界の生き物は、
『相互に助け合って生きている』
と思っていた私にとって
この1文が1番衝撃的でした。

しかし、考えればある意味当然のことですよね。
生存権を獲得するために、
日夜生物は戦っています。

ただ、皆さん疑問に思う点はありませんか?
「けど、自然界には沢山の生物がいるじゃないか」
「弱そうな生物もいるけど、本当にナンバー1なの?」


では本書でも紹介されているミミズについて考えてみましょう。
ミミズは土を食べる生物です。
土の中で土を食べる生き物の中では、
ミミズはナンバーワンで最強なのです。

生物が生きている生態的範囲を「ニッチ」というのですが、
その中でどの生き物もナンバーワンになろうと努力しています。

前述したミミズも祖先は足のようなものをもっていたらしいのですが、
土の中というニッチでナンバーワンになるために足を捨ててしまったのです。

この話は人間社会を生きている我々にとっても
とても示唆に富んだ話だと思います。

苦手なところや強敵のいるところで戦うのではなく、
自分がナンバーワンになれそうな場所を探していく。

この生物たちの生き方に、人間も生きていくための
ヒントが隠されているのではないでしょうか。

『はずれ者が進化をつくる –生き物をめぐる個性の秘密』の感想・
こんな人におススメ!

本書の内容は生物の話がメインというよりも
生物の話を織り交ぜながら、
”多様性とは” 

”個性とは”
といった哲学的な話題を取り扱っています。

生物学の話も基礎的な内容なので、
中高生の方でもスラスラ読むことが出来ると思います。

通常の自己啓発本とは異なったアプローチで
人間の本質的な悩みに切り込んでいく本書は、
新たな視点を読者に与えてくれると思います!

ぜひ読んでみてください!

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