【本の要約・レビュー】『夜と霧』~時代を超えて読まれる大ベストセラー~

今回ご紹介する本は、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の生存者である
「ヴィクトール・E・フランクル」という精神科医によって書かれた大ベストセラーです。

この本は彼自身の経験をもとに、
ナチスの強制収容所での生活と苦難について述べたもので、
精神科医の視点からそこでの生活の分析を行っています。

こう聞くと、とても陰鬱な内容の本ではないかと思うかもしれませんが、
そんなことはありません。

確かに書いてある内容は、凄惨なものです。
しかしそれを捉える著者の目によって
読み終えた後はある種の清涼感のようなものを感じることが出来ます。

いつ読んでも読者にエネルギーを与えてくれる、
私にとっても大切な本です。

内容が難しく感じる方には解説本もおすすめです。

目次

『夜と霧』の概要

出版社:‎ みすず書房
発売日:2002/11/6
ページ数:184ページ
この本の読書難易度は★5中★4です。

この本はこんな人におすすめです。

・現状に疲れている人
・本当の意味での前向きな考え方を知りたい人
・人生を生きていくための力が欲しい人

『夜と霧』から学んだこと、心に残ったこと

人間は、人生から問われている者である

フランクルの思想の中核を表しているのがこの言葉です。
我々は嫌なことがあったり、辛いことがあった時
「なんでこんなつらい目に合うのだろうか。こんなことに何の意味があるのだろうか」
こんな風に考えることが多いのではないでしょうか。

しかしフランクルは
「そういった問いの立て方はそもそも間違っている」
と言っています。

彼曰く
「人生の意味」は我々がそれを問うに先立って、
常にそして既に人生のほうから我々に投げかけられている
。”

こう言っているのです。

つまり人間の原点は「人生から問われている者」であり、
人間に出来ること、しなければならないことは
人生の様々な状況に直面しながら、その都度その都度
状況から発せられる「問い」に全力で答えていくことにあります。

その状況に潜んでいる「意味」を発見し、それに全力で答えていくことが
人間の使命であるとフランクルはいうのです。

あなたを待っている”誰か”がいて、あなたを待っている”何か”がある。

またフランクルの思想を表す考え方として、
「どんな時にも、人生には意味がある」
「あなたを待っている”誰か”がいて、あなたを待っている”何か”がある」
「その”誰か”や”何か”のためにあなたにもできることがある」

常にストレートで前向きな考え方を彼自身の考え方の
中心として劣悪な強制収容所内での生活を生き残っていきました。

収容所の生活の中で絶望してフランクルに相談してくる
収容者もいたそうです。

そこで彼が相談者に言ったことは
「あなたを待っている人はいませんか?」
「あなたに成し遂げられることを待っていることがありませんか?」

実際にこの質問で自分を待っている存在を知った人は
その後の収容所での生活を生き残ったそうです。

これは我々の生活でも活用できる考え方があると思います。
自分の存在を必要としているものがこの世界のどこかにあって、
あなたを待っている。

何かに潰れそうなとき、
こう考えると少し力が湧いてこないでしょうか。

『夜と霧』を読んでの感想

文章の1文、1文から生きていく力を貰いました。

私がこの本を読んでいた時は仕事が忙しく、
肉体的にも精神的にも追い込まれていた時でした。

そんな時に偶然目に留まったのが、
本書の「夜と霧」でした。

収容所での人間の尊厳を一切奪われた極限の生活。
そしてその生活の中で愛する人を失った著者。

しかし彼はそんな人生の中でも前を向いて
生きていくことができました。

それはやはり「人間は人生から問われている者である」という考えをもって
生きていくことが出来たからに他ならないでしょう。

日々の生活に疲れたり悩んだりしたとき
「人生の意味とは・・?」
と落ち込んでしまう時が誰しもあると思います。

ですが既に意味は与えられていて、
あなたに探し出されるのを待っています。

そのことを忘れないでいれば、
いつも前を向いて生きていけるのではないでしょうか。

この本は簡単に要約できるようなものではないので、
皆さんもぜひ自分の目で読んで感じてほしいと思います。


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