
「この分野はもうわかっているから、本を読むまでもないかな」
本を選ぶとき、そう考えて得意分野の本を避けていませんか?
私もそうでした。本からは新しい知見を得たいという気持ちが強く、未知の分野の本を選ぶことが多かったのです。逆に、もう自分ができている、わかっていると思う分野の本は、ほとんど手に取りませんでした。
そんな私が考えを変えるきっかけになったのが、阿川佐和子さんの『話す力』です。話す力を身につけたいというより、阿川さんの文章が読みたいという理由で選んだ一冊でした。
「話すこと」はそこそこできている、むしろ得意だと思っていた私ですが、この本を読んで発見がありました。
この記事では、得意分野の本を読むことで得られることと、読書で得意を伸ばすための読み方をまとめました。
この記事でわかること
- 得意分野の本を読む3つのメリット
- 「できる」と「言語化できる」の違い
- 得意を伸ばすための本の選び方・読み方
- 読書が苦手な人に、得意分野の本をすすめる理由
得意分野の本を読む3つのメリット
先に結論をまとめると、得意分野の本を読むメリットは次の3つです。
- 何となくやっていることを言語化できる
- 自分にはなかった考え方に出会い、得意がさらに伸びる
- 自分の経験と照らし合わせながら、楽に読み進められる
ひとつずつ見ていきます。
メリット① 何となくやっていることを言語化できる
自分がもともと得意なことほど、意外と言葉で説明できないものです。
偉大な功績を残したスポーツ選手が、必ずしも優秀な指導者になるとは限らない、という話はよく聞きます。できることと、それを言語化できることは別だということです。
言語化できていれば、何かにつまずいたときに軌道修正ができます。才能型のアスリートがスランプに陥ると抜け出しにくいのは、感覚に頼った動きが多いからだ、という話を聞いたこともあります。
誰かに説明するときに役立つのはもちろん、言語化することで、自分の能力を応用の効く力に高められるのではないかと考えました。
言語化そのものについては、『こうやって頭のなかを言語化する。』のノート術レビューでも詳しく紹介しています。
メリット② 自分にはなかった考え方に出会える
得意だと思っていても、完全ではありません。同じことをしていても、人それぞれの方法論や考え方があります。
『話す力』を読んで感じたのは、阿川さんのコミュニケーションの軸には、とにかく相手への優しさがあるということでした。
行動としては自分もできていることでも、その「優しさ」を忘れてしまっていることがある。そう気づかされました。それ以来、コミュニケーションで迷ったときは「相手への優しさ」に立ち戻って考えられるようになりました。
得意分野の本は、自分のやり方を否定するものではなく、もう一段階上に引き上げてくれるヒントをくれるものだと感じています。
メリット③ 経験と照らし合わせながら、楽に読める
得意分野の本は、内容の良し悪しを自分の経験と照らし合わせて判断しやすいのもメリットです。
「ここは共感できる」「ここは自分なら違うやり方をする」と考えながら読むと、自然と自分の考えが整理されていきます。前提知識がある分、読み進めるのも楽です。
得意を伸ばすための本の選び方・読み方
私なりに、得意分野の本を読むときに意識していることをまとめました。
| ポイント | やること |
|---|---|
| 著者で選ぶ | 内容より「この人の考えを知りたい」で選ぶと、新しい視点に出会いやすい |
| 自分との違いを探す | 共感した箇所より、「自分ならこうしない」と感じた箇所に印をつける |
| 一言でまとめる | 読み終えたら、自分のやり方に足したいことを一言で書き出す |
得意分野の本は「知っている話」が多くなりがちです。だからこそ、自分との違いに注目して読むと、得るものが大きくなります。
読書が苦手な人にも、得意分野の本はおすすめ
自分が得意なことの本なら、読み進めるのもだいぶ楽です。活字が苦手な人は、まず自分の得意分野で本を探してみるのもいいかもしれません。
苦手を克服するための読書だけでなく、本を読んで得意を伸ばすという視点も、読書を続けるうえでの大きなモチベーションになるはずです。
今回取り上げた本:『話す力 心をつかむ44のヒント』
- 著者:阿川佐和子
- 出版社:文藝春秋(文春新書)
- 刊行:2023年12月
『話す力』は、阿川さんの『聞く力』の系譜にあたる一冊です。出版社の紹介によると、「聞く力」シリーズは累計230万部を突破しており、阿川さんは30年以上にわたってインタビュアーとして活躍しています。詳しい書誌情報は文春新書の公式サイトで確認できます。
話す力・聞く力の両方に興味がある方は、『聞く力 心をひらく35のヒント』のレビューもあわせてどうぞ。「聞く」ことをもう少し実践的に知りたい方には、『人は聞き方が9割』の要約・レビューもおすすめです。
よくある質問
Q. 得意分野の本は、どうやって選べばいいですか?
A. 内容よりも「この著者の考えを知りたい」という基準で選ぶのがおすすめです。自分とは違う経験を持つ人の本ほど、新しい発見があります。
Q. 知っている内容ばかりで、退屈になりませんか?
A. 知っている内容が多いのは自然なことです。その中から「自分と違うところ」を探すつもりで読むと、退屈しにくくなります。
Q. 未知の分野の本と、どちらを優先すべきですか?
A. どちらが正解ということはありません。私は普段は未知の分野の本を中心に読み、ときどき得意分野の本を挟むようにしています。
まとめ:得意は、本で言語化するともっと伸びる
- 得意なことほど、言葉で説明できていないことが多い
- 得意分野の本は、言語化のきっかけと、新しい視点をくれる
- 「自分との違い」に注目して読むと、得るものが大きくなる
- 読書が苦手な人は、得意分野の本から始めるのもおすすめ
「もうわかっている」と思う分野にこそ、まだ言葉になっていない自分の強みが眠っているのかもしれません。次の一冊は、少しだけ自分の得意分野から選んでみてはいかがでしょうか。

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