16万部を突破し、著名人からも大絶賛の「13歳からのアート思考」。
こちらの本はタイトルに”13歳からの”とありますが、
決して学生向けの本ではありません。
13歳というのは美術の授業への苦手意識を感じる分岐点なのです。
「美術なんて社会に出て何の約に立つのか?」
と一見感じますが、
美術は現代社会を生きるために必要な思考プロセス(=アート思考)を学ぶことに繋がっていくのです。
ちなみに本書は「中田敦彦のYouTube大学」でも紹介されています。
今回はそんな『13歳からのアート思考』の簡単な要約と感想を書いていきたいと思います。
『13歳からのアート思考』~「自分だけの答え」が見つかる~ の概要
ジャンルとしては中学校教育などに分類されていますが、
むしろ大人が読んでためになる本かと思います。
こんな人におススメです。
この本はアート、アーティストの思考をたどり、
物事の考え方を教えてくれます。
美術に興味がなくても、
何かにチャレンジしようとしている方や仕事がうまくいかないなどの悩みを抱えている方にもおすすめです。
アーティストと花職人
この本ではアートを植物に例えられています。
地表に出た花の部分は「作品」。
その元となるタネの部分は創作の源となる「興味」、「好奇心」「疑問」。
そしてそこから映える根は探求の過程。
私たちはついこの花の部分ばかりに注目してしまいがちですが、
アートの本質は地に隠れているタネや根の方なのです。
このようにタネから探求して根をはやし、
綺麗な花を咲かせるアーティスト。
その一方で花の部分だけをつくる花職人も存在します。
花職人は先人たちの教えから技術を学び花を咲かせます。
ですが、その花にはタネもなければ根もありません。
そして同じような花を作れる人が沢山出てきます。
アーティストと花職人は表面的には同じように花を咲かせていますが、
本質的には大きく異なります。
自らの中に興味のタネをみつけ、
探求し咲かせた唯一無二の花を咲かせることができる人がアーティストと言えるのです。
そんなアーティストが花を咲かせるまでの過程、つまりアート思考とは具体的にどんなものなのでしょうか?
アート思考
現代社会を生きる大人が「自分なりの視点」を失いかけています。
すなわち花職人の状態です。
「自分なりの視点」をもつためのプロセスはまさにアーティストが作品を生み出す過程(=アート思考)と重なります。
アート思考を著者はこのように定義しています。
①「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、
②「自分なりの答え」を見出し
③それによって「新たな問い」を生み出す
この思考方法の説明として、
全6作のアートの作品背景やアーティストの思考とともに話が展開されていきます。
ここまで読んでみてアート思考に興味が持てた方は、
ぜひこの本を手に取ってみてください。
『13歳からのアート思考』を読んだ感想
アート鑑賞で忘れていた感覚
この本を読んでアート鑑賞の時にはなぜか忘れてしまっていた感覚を取り戻せた気がします。
今まで作成者がアートを作成した意図や作品の意味が絶対的な正解であるとして、
自ら考えて自分なりの答え、解釈に落とし込むことが出来ていませんでした。
この本を読んだ時、大学で学んだ哲学のことを思い出しました。
「哲学という学問は誤読によって広がっていった。」
私に哲学を教えてくれた恩師はこう言っていました。
ソクラテスの誤読をしたのはプラトン。
プラトンの誤読をしたのがアリストテレス。
こうして広がっていった哲学は、
私たちにこう示してくれてます。
誤読でもいい。
自ら考え探究して答えを出した瞬間、世界は確実に豊かになったのだと。
Googleで調べれば
それらしい答えが簡単に手に入る現代はまさに正解主義のような傾向があります。
ですが、それだけでは世界は広がっていきません。
自ら考え自分だけの答えを探してみる。
そんな考え方を思い起こしてくれる本だと思います。
意味を探求し続ける偉大なアーティストたち
この本ではアート作品を例にアートの見方を学んでいきます。
どのアーティストも自分たちの創作活動に社会的な意味を探求し続けています。
例えばカメラという技術の台頭により、
その場面をリアルに描写し大衆に伝達するといった役割をもつアート活動は存在価値を失います。
そこでピカソは写真では決して表現のできない、
物事を多面から見た描写を一枚の絵に落とし込みアーティストの存在意義を見出しました。
キュビズムという様式ですね。
こうしてアートの世界は広がり、
世の中に大きな影響を与え続けています。
こうした偉大なアーティストの意味の探求は私たちにこう問いかけているように思えます。
今あなたがしている仕事は意味のあるものですか?
今一度私たちの仕事が社会的に意味のあることなのか。そんなことを考えさせられました。
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