今日紹介するのは、マルクス・アウレリウスの『自省録』です。
彼はローマ帝国の第16代皇帝(在位:161〜180年)であり、「哲人皇帝」としても知られる人物。
理性によって感情を制御し、自然と調和して生きることを重んじたストア哲学の実践者でした。
自省録とは?
『自省録』は、皇帝である著者が自らの内面と向き合い続けた思索の記録です。
他人に読ませるためではなく、自分自身のために書き綴られた「心のノート」。
内容は自己鍛錬や感情の制御、死生観といったテーマを、日記のような短い文章で綴っています。
皇帝が書いた日記ってだけでも気になりません?
ちなみに私は『ミステリと言う勿れ』というドラマの中で登場して、気になって手に取りました。
読んで感じたこと:人の悩みは時代を超える
皇帝が書いた日記というと、さぞ高尚なことが書かれているのだろうと思いきや、
実際に読んでみると、私たちにも通じる内容が多く、思わずクスリとしてしまいました。
たとえば、こんな一節があります。
「『私は暇がない』などということを、しげしげと、
必要もないのに人に言ったり手紙に書いたりしないこと。」
忙しいアピールをする人は、どの時代にもいたんですね。
また、この日記には自分への戒めが多く書かれています。
「他人のことを考えすぎて行動できなくなるな」
「物事を行うときに、いらいらしてはならない」
おそらく、マルクス・アウレーリウス自身ができなかったこと、
至らなかったことを反省しながら書いていたのでしょう。
皇帝という立場にあっても、気をつけるべきことは私たち一般人と変わらないなと
読んでいて思いました。
裏を返せば、基本的なことを守れないようでは、大きなことも成し遂げられない。
そう感じさせられました。
ちなみに「朝起きられないときの対処法」だったり、角力(相撲)についての言及もあったりと、
その時の時代背景に思いを馳せながら読むのもいいと思います。
日常の「道しるべ」として読む
この本は最初から通して読むよりも、気になる章をパラパラとめくる読み方が向いています。
朝の支度前や夜の静かな時間に、自分の行動を見つめ直すための“鏡”のように開くと心に響きます。
印象的だったのは、次の一節です。
「善い人間のあり方について論じるのはもうやめて、善い人間になったらどうだ。」
理想を語るよりも行動せよ──
言葉にするのは簡単でも、実践は難しい。その誠実な葛藤こそが、この本の魅力だと思います。
まとめ
『自省録』を読んで感じたのは、人間の悩みは2000年前から変わっていないということ。
時代も地位も違っても、私たちは同じように迷い、反省しながら生きている。
そんな普遍的な人間の姿を、静かに教えてくれる一冊です。


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