【本の要約・レビュー】『あしたから出版社』~一人で出版社を始めた男のエッセイ~

大学を卒業したら、なるべく優良企業に入って、
彼女・彼氏をつくって結婚して子供を育てて・・・・

いつの間にか、何の影響なのか、それが普通で、
そうして生きていかなきゃいけないと思っていました。

そしてそんな生き方が、何となく正しいと思っている人は、
沢山いるんではないでしょうか。

今回ご紹介する本は「親しい人の死をキッカケに1人で出版社を始めた人の物語」です。

本屋でパラパラとめくって、
本に書かれた「ひとりで出版社をはじめる」という章が気になって購入しました。

著者は特別な経歴があるわけではありません。

人より本が好きだっただけです。

そんな彼が、なぜ一人で出版社をはじめ、なぜ本を出版することになったのか。

そこまでに至る理由と、出版社を営んでいく上での苦悩・やりがいが描かれています。

目次

『あしたから出版社』の概要

出版社:筑摩書房
発売日:2022/6/13
ページ数:336ページ
この本の読書難易度は★5中★2です。

この本には出版社を営む上でのノウハウが書かれているわけでも、
ビジネスに役立つ内容が書いてあるわけでもありません。

1人の男性の生き方が描かれたエッセイになります。
ユーモアあふれる語り口で非常に読みやすいです。

著者の考え方、生き方から学べることはきっとあるはずです。
ぜひ書店で見かけた方は、パラパラとめくってみてください。

この本はこんな人におススメです。

・本好きな人
・人と同じように生きることが難しいと悩んでいる人。

『あしたから出版社』から学んだこと、感じたこと

決心さえすれば、だれでも、あしたから、あたらしい肩書きくらいはつけることができる

著者が出版社を始めたきっかけは、ある大切な存在の死です。

大切な人を亡くして悲しみのどん底にいた時に出会ったある詩に感銘を受けました。
その詩を本にすることで、
自分と同じように苦しんでいる人へ詩を届けようと1人で出版社を始めます。

出版社を始まる前、もともと作家志望だった著者は、
1つの仕事を長く続けることが出来ずに、様々な仕事を転々としていました。

特別な能力を持っている訳でもなく、
人とのコミュニケーションも苦手なほうです。

しかしそんな著者にも人並み以上に力を入れていることがありました。
それが読書することです。

「詩を人に届けたい」
「自分が人以上に情熱を傾けることが出来たのは本しかない」

この2つの思いが重なり、著者は1人で出版社を始めることを決心します。

先にも書いた、
決心さえすれば、だれでも、あしたから、あたらしい肩書きくらいはつけることができる。
は本書の中に登場する筆者の言葉です。

まさにこの言葉は、
「自分を変えたい」
「このままじゃダメだ」
と悩んでいる方たちの背中を押してくれる言葉です。

ブログを書いている私も、ブログを始める前までの
肩書は”会社員”でした。

でも今は”会社員兼ブロガー”です。
(めちゃくちゃ微々たるものですが、ブログによる収入もあります笑)

肩書が増えることで感じたのは、
「自分には可能性がある、広がりがある」という自己肯定感です。

この本は私がブログを始める前に読んだ本ですが、
今ならこの筆者の言葉により共感します。

文章を読むということは。。世界をもういちど体験すること

文章を読む魅力って何でしょう?
今なら映像コンテンツが山ほどあります。

その中でわざわざ文章を読む。
いったい何故。

著者はこのことについて
自分の中にあった言語化されていない何かが、文章として再現されていることに感動する
と言ってます。
これは私も文章を読んでいてそう思います。
自分のモヤモヤしている思い・考えが文字として整理されているのを見ると
「そうそうそれが言いたかった!」
とスッキリします。

これは文章を読む魅力の1つですよね。

更にもう1つの文章を読む魅力が、
「文章は読み手の記憶と分かちがたく結びついているというところ」
これが最大の魅力だと思います。

これはどういうことかというと、
文章の中に出てくる「美しい海」というフレーズを読んだときに、
きっと、思い起こされるのは自分が知っている1番美しい海のはずです。

映像と違い、文章を読んで、その内容を自分の中に再現するとき、
そのベースとなるのは自分の経験です。

つまり文章を読むということは、
自分とは違う経験を持った人の文章を通じて、
世界を再体験、再構築することができるのです。

『あしたから出版社』を読んでの一番心に刺さった部分

「文章は読み手の記憶と分かちがたく結びついているというころ」
映像コンテンツが勢いを増している現代ですが、
文章の持つ魅力というものは、決して色あせないと思います。

『あしたから出版社』を読んでの感想

本好きの著者というだけあって、文章は非常に読みやすく、
しかもユーモアに富んだ内容になっています。

私も本が好きなので、
同じ本好きの方が頑張って出版社を営んでいる姿にエネルギーを貰うことが出来ました。

著者が、もがきながら本を出版していく姿に、
「人はやる気になればなんだって成し遂げることが出来るんだ」と思いました。

読み終わった後に、爽やかさを感じる本です。
暑い今日この頃、つるつるっとぜひ読んでみてください。

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