『したがるオスと嫌がるメスの生物学』|愛の最終決定権を握っているのはメス

『したがるオスと嫌がるメスの生物学』というタイトルを見て、思わず二度見してしまった方も多いのではないでしょうか。本書は、昆虫を中心とした生物たちの「繁殖をめぐる駆け引き」をテーマに、オスとメスの意外な戦略を紹介する一冊です。

この本はタイトルに惹かれて買ってしまいました笑
特に表紙に書いてある一文はインパクトがありますよね。

生物の世界では、オスは基本的に
自分の子孫を多く残そうとして行動します。

そのためなるべく多くのメスと”したがる”訳です。

一方でメスの子供を産む数には限度があります。
なので、交尾の相手の数と同時に”質”も大事になってきます。
誰とでも交尾をするのではなく、
質の悪いオスとの子供は残さないように交尾を嫌がる場合が出てきます。

このように生物の世界では
「したがるオスと嫌がるメス」という対立構造が生まれています。

本書では、オスとメスの子孫を残すための戦略について
著者の専門である昆虫に焦点を当て、話が展開されていきます。

著者の宮竹貴久氏は1962年大阪府生まれ、岡山大学大学院環境生命科学研究科教授を務める昆虫生態学の研究者です。理学博士(九州大学大学院)として長年にわたり昆虫の繁殖戦略や性選択について研究しており、本書『したがるオスと嫌がるメスの生物学』でも、その専門知識をもとにオスとメスの駆け引きが具体的なエピソードとともに紹介されています。

それでは本の紹介を始めたいと思います。

目次

『したがるオスと嫌がるメスの生物学』の概要

出版社:集英社
発売日:2018/2/16
ページ数: 240ページ
この本の読書難易度は★5中★3です。

より詳しい書誌情報は、出版社である集英社の公式サイトでも確認できます。

この本はこんな人におススメです。

・タイトルにひかれた人(笑)
・オスとメスの子孫を残すための戦略に興味がある人

『したがるオスと嫌がるメスの生物学』から学んだこと、心に残ったこと

オスは必ずしも戦わない

したがるオスと嫌がるメスの生物学(宮竹貴久/集英社新書)の表紙

「オスはメスをめぐって激しく戦う」
皆さんはこんなフレーズ、一度は聞いたとことありますよね。

実際に多くのオスはメスをめぐって戦います。
しかし、中には体が小さかったりして、
戦うことの出来ない弱々しいオスだっています。

では、そんなオスはどうやって子孫を残すのでしょうか。
弱者の戦略の一つに「スニーキング」と呼ばれる戦略があります。

これは、他の強いオスの目を盗んで
こっそりとメスと交尾をする戦略です。

例えば著者が紹介している「ヨツボシケシキスイ」という虫。
スニーキングするような小型オスは、
成長するための栄養を精巣に投資します。
(大型オスの場合は、戦いに使用する顎に栄養を投資します。)

つまり交尾のチャンスで自分の子孫を残す可能性を
高めるための成長をしているのです。

これは面白いですよね。
そもそも戦うことをあきらめる代わりに、
別の部分に特化して子孫を残す可能性を高めていくわけです。

ちなみにこ「スニーキング」
という戦略は虫の世界の他でも見られます。

私の知っているものだと”アザラシ”
も同じ戦略をとるそうです。

体の小さいオスはメスに擬態してハーレムに紛れ込み、
こっそりメスと交尾してしまうらしいです(笑)

オスは自分の体のサイズや強さに応じて、異なる戦略をとる!

愛の最終決定権を握っているのはメスである

したがるオスと嫌がるメスの生物学(宮竹貴久/集英社新書)の表紙

「どの精子を使って受精するかの最終決定権はメスが持っている」
「そんなことできるのか?」と思った人もいると思いますが、
実際に出来ている生物がいるのです。

その一つの例として挙げられるのが、「ヒメフンバエ」です。
メスは3つの授精嚢(じゅせいのう)をもっていて、
交尾した雄の精子をそれぞれの嚢(袋状の器官)に分けて蓄えておけるのです。

そしてその中でどの精子をつかって、
受精するかはメスが決定権を持っています。

他にもニワトリのメスも同様の機能を持っていて、
地位の低いオスの精子は受精に使用しないそうです。

ちなみになんと人間の女性にも似たような機能が働く場合があるそうです。
詳しくはぜひ本書を読んでみてください。

メスが最後の決定権を握っていることが多い!

『したがるオスと嫌がるメスの生物学』とあわせて読みたい本

生物の「個性」や「戦略の違い」というテーマに興味を持った方には、当サイトの『はずれ者が進化をつくる –生き物をめぐる個性の秘密』もおすすめです。個体差や多様性という切り口から生物の面白さを掘り下げており、『したがるオスと嫌がるメスの生物学』とあわせて読むと、生き物の世界の奥深さがより立体的に見えてきます。

人間の恋愛や結婚観についても、こうした生物学的な視点を知っておくと、パートナー選びや価値観の違いを少し違った角度から眺められるかもしれません。もちろん人間の行動は文化や個人の意思による部分も大きいため、生物学的な傾向がそのまま当てはまるわけではありませんが、「なぜそう感じるのか」を考えるヒントとして楽しめる一冊です。

『 したがるオスと嫌がるメスの生物学』を読んだ感想

したがるオスと嫌がるメスの生物学(宮竹貴久/集英社新書)の表紙

メスとオスは双方とも「子孫を残す」という
目標に向かって生きています。

しかし、一方でその残し方には
オスとメスで戦略が異なっていることがわかりました。

考えてみれば当然ですが、メスは子供を厳選して
残したいから相手は選びたい(出産にはリスクがあるため)

一方でオスはそんなことはお構いなしに子孫を
多く残したいから多くの相手と交尾をしたい。

生物の世界では、こうしたオスとメスの対立を通じて
子孫を増やしてきているのです。

本書の内容で一番印象に残ったのは
「愛の最終決定権を握っているのはメス」という
フレーズです。

これはいろんな意味で人間にも当てはまるかもしれませんね笑

本書は虫をテーマに書かれており、
中には専門的な話も出てきますが、
楽しく読み進めることができました。

興味を持った方はぜひ手に取って読んでみてください!

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