【本の要約・レビュー】『頭のいい人が話す前に考えていること』7つの黄金法則で”賢く見られる”人になる

「あの人、頭いいな」と思われる人と、そうでない人の差はどこにあるのか——。その答えは”生まれつきの地頭”ではなく、話す前に何を考えているかにある。そう教えてくれるのが、安達裕哉さんのベストセラー『頭のいい人が話す前に考えていること』です。この記事では、本書の骨格である「7つの黄金法則」の全体像と、実際に読んで特に刺さったポイントを紹介します。

目次

『頭のいい人が話す前に考えていること』の概要

  • 著者:安達裕哉
  • 出版社:ダイヤモンド社
  • 発売日:2023/4/19
  • ページ数:338ページ
  • 読書難易度:★3(★5中)

著者の安達裕哉さんは、コンサルティングファームのデロイト トーマツ出身で、独立後に運営するブログ「Books&Apps」は累計1.2億PVを超えるという”伝わる文章”のプロ。その安達さんが「知性と信頼はどこから生まれるのか」を体系立ててまとめたのが本書です。

こんな方におすすめ

  • 話すのが苦手で、うまく伝えられないと感じている人
  • 思考の質そのものを高めたい人
  • 「頭がいい」と思われる人になりたい人

本書の全体像:7つの黄金法則と5つの思考法

本書は大きく2部構成になっています。
第1部が考え方の土台となる「7つの黄金法則」
第2部がそれを実践するための「5つの思考法」です。
まずはここで全体像をつかんでおきましょう。

第1部:知性と信頼をもたらす「7つの黄金法則」

  1. とにかく反応するな … 強い感情に流されたまま口を開かない
  2. 頭のよさは、他人が決める … 自己満足ではなく、相手にどう伝わったかがすべて
  3. 人はちゃんと考えてくれている人を信頼する … “頭の回転の速さ”より”深く考える姿勢”
  4. 人と闘うな、課題と闘え … 論破して勝つのではなく、一緒に問題を解決する
  5. 伝わらないのは、話し方ではなく考えが足りないせい … 話術の前に、思考の深さ
  6. 知識はだれかのために使って初めて知性となる … 知識は披露するものではなく、役立てるもの
  7. 承認欲求を満たす側に回れ … 自分が認められたい欲を、相手を認めることに向ける

第2部:思考を深める「5つの思考法」

第2部では、黄金法則を日常で実践するための具体的な思考法が5つ紹介されます。

客観視 → 整理 → 傾聴 → 質問 → 言語化

自分の考えを一歩引いて眺め(客観視)、情報を整理し、相手の話をよく聴き(傾聴)、的確に問い、最後に分かりやすい言葉にする(言語化)。この5つを回すことで、「ちゃんと考えてから話す」が自然にできるようになります。

(※言語化のスキルをもっと鍛えたい人は、『こうやって頭のなかを言語化する。』のレビューもあわせてどうぞ。)


ここからは、この本を読んで私が特に刺さった3つのポイントを、もう少し深掘りして紹介します。

【深掘り①】とにかく反応しない ― 怒ると人は頭が悪くなる

第1部のマインドセットから、まず一つ。それが黄金法則①の「反応しないこと」です。

著者は、人は強い感情に支配されたとき、思考力が著しく低下すると指摘しています。
怒りのようなパワーのある感情に飲み込まれると、突発的に愚かな行動をしてしまう可能性がある、と。

そこで対処法が2つ紹介されています。

ひとつは、よく言われる方法ですね。「すぐに口を開かない」
人間の怒りの感情はおよそ6秒しか持続しないそうなので、その間は黙ってやり過ごすというもの。

もうひとつが「相手がどう反応するか、複数案を考えて比較する」。「こう言ったら相手はどう返してくるかな?」と頭の中でいくつかシミュレーションしてみる。これをやっているうちに、頭が冷静になると著者は言っています。

結局は「すぐに反応しないこと」、これに尽きます。怒りとの向き合い方については、『自衛隊メンタル教官が教える イライラ・怒りをとる技術』でも紹介しているので、あわせて読んでみてください。

【深掘り②】承認欲求を”満たす側”に回る

続いて黄金法則⑦、承認欲求のコントロールです。

人はだれしも承認欲求を持っています。これをうまくコントロールすることで、他人からの信頼を得ることができます。

よく「聞き上手がコミュニケーションで大切」と言われますよね。人には「自分を認めてもらいたい」という欲求がある。
これを前提に、相手の承認欲求を満たす側に回ることで、上手に信頼を得られるというわけです。

ここからは実体験ですが、自分の話ばかりする人って、裏ではそこまで重要視されていなかったりしませんか?
逆に、口数は少ないけれど周りの意見をよく聞く人は、いざその人が口を開いたとき、みんなが耳を傾けている気がします。

相手の承認欲求を満たすうえで、気をつけたいことがひとつ。
それは「相手の話を聞いた分、自分の話をしようとしないこと」です。

人の話を聞いていると、すぐ自分の話を始める人っていますよね。「へえ、そうなんだ! あ、そういえば僕はさ……」。
いますよね(笑)。これをやっているうちは、なかなかコミュニケーション上手にはなれません。
自分の話をしたくなったら、グッとこらえて聞き手に回ってみましょう。
相手から好印象を持たれる確率がぐっと上がると思います。

(”聞くこと”そのものをもっと極めたい人は、『人は聞き方が9割』のレビューもどうぞ。)

【深掘り③】少ない情報で話を展開しない ― 確証バイアスの罠

最後は第2部の思考法「客観視」にもつながる、「少ない情報で話を展開しない」という話です。

根拠の薄い情報をもとに論理を展開すると、残念ながらその人の話には信頼感が出ません。皆さんの周りにもいませんか?「テレビで見たから」「知人が言っていたから」——こういう話し方をする人に限って、少し突っ込まれるとしどろもどろになっていたりします。

頭のいい人たちは、情報の”受け取り方”に注意を払っています。
なぜなら人間は、バイアス(思い込み)をかけて情報を見る生き物だからです。

たとえば「確証バイアス」。これは、自分が得た情報を”正しいに違いない”と思い込み、情報を都合よく曲げて受け取ってしまうこと。人間は、自分に都合の良いように世界を見ているのです。逆に言えば、この少数データによる思い込みを避けるだけで、以前の自分より頭を良くすることができます。

著者がすすめる方法は2つ。

① 自分の意見と真逆の情報を調べる ② 統計データを調べる

①は言わずもがなに思えて、意外とできません。人はつい自分に都合の良い情報ばかり集めてしまう。たとえば新しいスマホが欲しくなると、そのスマホの良い情報ばかり集めてしまいませんか? そんなときこそ、意識して逆の情報を集める癖をつけることが大切です。

②について、自分の考えを補強するには数字の裏づけが欠かせません。文献や一次情報を調べるのが一番ですが、個人的にはネットで一度調べてみるだけでも、自分の思い込みに気づけたりするのでおすすめです。

まとめ ― 「頭のよさは、他人が決める」

本書に「頭のよさは他人が決める」というフレーズが出てきます(黄金法則②)。

いくら自分で「頭がよくなってきた!」と息巻いても、他人がそう思わなければ意味がありません。もちろん「自分の能力を高めたい」という意識は大切です。でもそれと同じくらい、「自分は他人との関係の中で生きている」と意識することが、巡り巡って自分の”頭の良さ”につながってくるのだと思います。

7つの黄金法則も5つの思考法も、根っこにあるのは「相手のことを考える」という一点。話し方のテクニック本というより、“考え方”そのものを鍛える一冊として、多くの人におすすめできる本でした。

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