「頑張っているのに、なぜかいつも空回りしてしまう」——そんな感覚を持ったことはありませんか。
一橋ビジネススクールで教鞭をとる経営学者・楠木建氏による本書は、GRIT(やり抜く力)やレジリエンス(回復力)がもてはやされる時代に、あえて逆を行く仕事哲学を提案します。
それが、タイトルにもなっている「絶対悲観主義」です。
『絶対悲観主義』の概要
本書の詳しい情報は、講談社の書籍ページでも確認できます。価格や在庫状況は変わることがあるため、購入前に各書店のページをご確認ください。
エッセイ調で読みやすく、一気に読み進められる一冊です。
この本はこんな人にオススメです。
本書は、日立のWebマガジン「Executive Foresight Online」での連載(2018年8月〜2022年4月)に加筆し、再構成したものです。連載がもとになっているため、章ごとに区切って読み進めやすい構成です。
『絶対悲観主義』の要約を3行で
- 仕事は、ほとんど自分の思い通りにならない。この前提に立つのが「絶対悲観主義」
- 最初から期待しなければ、うまくいかなくても挫折しない。うまくいけば、それはうれしい誤算になる
- だから、成功にとらわれず、目の前の仕事を気楽に淡々と続けられる
本書のポイント
- 「うまくいくことなんてひとつもない」―これが絶対悲観主義
- このスタンスで生きれば困難も逆境もない。逆境がなければ挫折もない
- 物事に取り組む速度も上がる。悲観から楽観が生まれる。(意外とうまくいったじゃん!)
絶対悲観主義とは何か——「うまくいかない」を前提に生きる
本書の核となる考え方はシンプルです。「仕事はどうせうまくいかないものだ」と、最初から悲観的に構えておく。それが絶対悲観主義です。
一見すると後ろ向きに感じるこの姿勢ですが、著者はここに大きな効能があると説きます。
うまくいかないことを前提にしていれば、実際にうまくいかなくても「まあ、そんなものだろう」と受け止められる。逆に、たまたまうまくいけば「思ったよりうまくいった!」と喜びが生まれる。
悲観からスタートすることで、結果的に心が軽くなるという逆説です。
ポイント図解

なぜ「頑張り過ぎ」より「悲観」の方がうまくいくのか
現代では「困難に負けずやり抜く力」がもてはやされがちですが、著者はこうした精神論に懐疑的です。
無理に気合いで乗り切るスタイルは長続きせず、反動で燃え尽きてしまうことも少なくありません。
絶対悲観主義は、逆境や失敗そのものをなくそうとするのではなく、「そもそも期待値を上げすぎない」ことで、挫折の衝撃を和らげるアプローチです。
肩の力を抜いた状態のほうが、かえって物事に集中しやすくなるという指摘は、多くの働く人にとって腑に落ちるのではないでしょうか。
全14章の構成
タイトルの「絶対悲観主義」を正面から扱うのは第1章です。第2章以降は、幸福、お金と時間、チーム、友達、失敗など、仕事と人生にまつわるテーマを著者ならではの視点で語るエッセイが続きます。
- 絶対悲観主義
- 幸福の条件
- 健康と平和
- お金と時間
- 自己認識
- チーム力
- 友達
- オーラの正体
- 「なり」と「ふり」
- リモートワーク
- 失敗
- 痺れる名言
- 発表
- 初老の老後
「絶対悲観主義」の考え方だけを知りたい人は第1章を、著者の仕事観や人生観を味わいたい人は気になる章から拾い読みするのがおすすめです。
感想:実践してみて感じたこと
「GRIT」とか「やりぬく力」に注目が行く現代ですが、そんな中で提唱されている
「絶対悲観主義」は目から鱗的な考え方でした。
こういう火事場のバカ力は長続きしないというのが、私の経験からも感じていることです。
その後に強烈に疲れて無気力症候群状態になってしまう。。。
であれば、最初から「物事は上手くいかないよね」と思いきり悲観主義に
自分のスタンスのダイヤルを回しておく。
実際にこの考え方を意識してみると、「結果が出なくても仕方ない」という心構えがあるだけで、取り組む前の緊張やプレッシャーがかなり和らぎます。
不思議なことに、気負いがなくなった分、目の前の作業そのものには集中しやすくなったようにも感じました。
ただし、本書で絶対悲観主義について直接語られているのは前半部分のみで、後半は「幸福」「お金と時間」「友達」といった幅広いテーマについての、著者らしいユーモアを交えたエッセイが中心になっています。
ビジネス書というより、人生訓のようなラフな読み物として楽しむのがおすすめです。
よくある質問
Q. 何ページありますか?
240ページです(講談社+α新書)。
Q. どんな人に向いていますか?
仕事で頑張りすぎて疲れている人や、結果へのプレッシャーを感じやすい人に向いています。エッセイ調で章ごとに区切って読めるので、普段あまり本を読まない人にも手に取りやすい一冊です。
Q. ただのネガティブ思考とは違うのですか?
違います。「どうせダメだ」とあきらめるのではなく、うまくいかないことを前提にしたうえで、目の前の仕事は淡々と続ける。悲観は行動をやめる理由ではなく、気負わずに動き続けるための構えとして語られています。
まとめ:成果へのプレッシャーから少し自由になれる一冊
「頑張ればきっと報われる」という思い込みに疲れてしまった人にこそ読んでほしい一冊です。
気負わず、それでいて着実に物事に取り組みたいという方に、新しい視点を与えてくれます。
「頑張りすぎない」働き方に興味がある方は、『降伏論』の要約・レビューや『SINGLE TASK 一点集中術』の要約・レビューもあわせてご覧ください。絶対悲観主義と組み合わせることで、より無理のない仕事の進め方が見えてきます。


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